生かされてある日々

「世界はエネルギッシュな人間のものである」……エマーソン(1803~1882)米の思想家

タ オ

第13章 たかの知れた社会なんだ

 

ぼくらはひとに
褒められたり貶されたりして、
びくびくしながら生きている。
自分がひとにどう見られるか
いつも気にしている。しかしね
そういう自分というのは
本当の自分じゃあなくて、
社会にかかわっている自分なんだ。

 

天と地のむこうの道(タオ)に
つながるもうひとつのじぶんがある。
その自分にもどれば
人に嘲られたって褒められたって
ふふんという顔ができる。
社会から蹴落とされるのは
怖いかもしれないけれど、
タオから見れば
社会だって変わってゆく。だから
大きなタオの働きを少しでも感じれば
くよくよしなくなるんだ。
たかの知れた自分だけれど
社会だって、
たかの知れた社会なんだ。

 

もっと大きなタオの命に
つながっている自分こそ大切なんだ。
そのほうの自分を愛するようになれば
世間からちょっとパンチをくらったって
平気になるのさ。だって
タオに愛されている自分は
世間を気にしてびくつく自分とは
別の自分なんだからね。


社会の駒のひとつである自分は
いつもあちこち突き飛ばされて
前のめりに走っているけれど、
そんな自分とは
違う自分がいるーーそれを知ってほしいのだよ。

              ‥‥ 加島祥造著「タオ 老子」より