オープンマインド(開かれた思考)
私の家族のように何世代にもわたって共産主義体制下で暮らしていると、何事にもやり方は一つしかないという考え方を受け入れるしかない。服装も一種類しかなく、崇拝するのも一人だけ、運動も考え方も一つだけと刷り込まれていく。
‥(中略)‥
共産主義体制下で生きるということは、オープンマインド(開かれた思考)になるよう教わるチャンスがないということだ。
そこには理由がある。オープンマインドでなければ、簡単に他人が操ることができるのだ。だから上層部はつねにわれわれが今まで教わってきたことに疑念を抱かないよう、細心の注意を払っていた。共産主義の指導者であれ、食品および製薬会社の経営陣であれ、上層部の人間は私たちの大部分が恐怖に左右されていることをよく知っている。
‥(略)‥
今日の、あらゆる国で今も恐怖は続いている。われわれは十分満たされないことを恐れている。十分な食べ物、お金、あるいは安心がないことを恐れている。だから私たちはこれでもかというほど働きまくり、歩み緩めることを恐れるからファーストフードや加工食品で空腹を満たしている。
---ジョコビッチの生まれ変わる食事より
心をコントロールする方法
心をコントロールする方法は二つある。
一つは、体から入る方法だ。酒、風呂、スポーツ、セックス‥‥体を使うことで自然と心は変わってゆく。この方法は、心をベターな状態に戻すには、即効性がある。
もう一つの方法は、言葉を自分に投げかけることだ。声に出すと、言葉が心の中に染み込む。これはやがて技となり、日常を変えてゆく。できれば歴史的重みのある言葉--賢者たちの言葉がいい。
「賢者はかく語りき」より
自身の命の力を高めるために
「自分と同じ意見の人間が他にもたくさんいる」と宣言した瞬間に、その人は「いくらでも替えが効くので、いなくなっても別に困らない人」というカテゴリーにおのれを分類してしまう。
‥(略)‥
命の力を高めるためには、「私がいなくなったら、誰もそれを言う人がいなくなるようなこと」だけを選択的に語ったほうがいい。
これは僕の経験的確信です。
自分以外の人でも言いそうなことはできるだけ言わないでおく。
誰でも言いそうなことをあちこちで言い募って時間を浪費するには人生はあまりに短いからです。
(そして同じことを最後に繰り返して言う‥)
もし、何か言葉を発する機会があったら、できれば、「こんなことを言うのは、この広い世界で私ひとりではないか」と思えるような言葉を選択したほうがいい。
そう思っている人は、簡単に地上から消えるわけにはゆかないからです。だって、自分がそれを言わなければ、誰も代わりに言ってくれないんですから。
なんとかして、自分の言葉を誰かに届かせようとする人は、あたう限り丁寧に語る。情理を尽くして語る。
---困難な成熟より
自分を売らない思想より
偏っていないことは、状況にコミットしていないことと同じである。自分は責任をとりたくない、ということでもある。生きている限り、選挙では誰かを支持するはずだ。
ところが、公正な意見を、といって自分は高見の見物をしていて、審判の立場に立ちたがるのである。そんな審判は地上から離れて天上界に行ったほうがいい。
繰り返すが、中立公正な意見があると思う人は、死んでいる人だ。そういう人間が多いから原発が止まらないのである。
---だまされない思想(自分を売らない思想)より